房総半島で狙うカスザメ / カスザメ 千葉県

これは2015年年末直前の冬のお話。

これまた昔の記憶を引っ張りだしてきているので若干の違いはあるかもしれませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです。


コブダイ釣行後、どんな魚も狙えば釣れる可能性があるんだ!と燃えていた頃。
コブダイに続き水族館で見て釣ってみたいなと思っていたカスザメという魚を狙ってみる事にしました。


以前からカスザメは、回遊系のサメとは違った淡水魚のような魅力を持っているかっこいいサメだなと。
しかし狙って釣るとなるとハードルは低くありません。

この魚を釣ってみたくて、夏に二回ほど、静岡県と神奈川県にこの魚を狙いに遠征をしましたが、残念ながら本命には出会えず。


夏と冬に浅瀬にくるような話を聞いたので半信半疑ながら向かったのですが、
何がダメなのかよくわからない、典型的な釣れない魚のイメージでした。

型のいいウツボが釣れたりしてそれはそれで楽しかったけれど




それから季節は変わり、冬。
年末年始の恒例遠征の前に、
時間ができた僕は冬の房総半島へと足を運ぶこととなります。

簡単に釣れないとわかっていても行ってしまうのは生き物好きの性ですよね。

カスザメとは

サメなの?エイなの?

見た目はエイのようですが、サメの仲間。
その平たい体と保護色となる体色で海底に張り付き餌がやってくるのを待ちます。待ち伏せ型の捕食者です。

冬や夏にヒラメの外道としてサーフで引っかかってくる事があるような話をたまに聞き、どうやらその時期は浅瀬に寄っているよう。
じゃあ普段どこにいるんだという話なんですが、思った以上にこの魚は情報が少なく不明。

名前の由来も、取るに足らない(カス)サメというところからきているらしく、
一般ウケはよくないみたいですね。
こんなに魅力的なフォルムをしているのに。


水族館で観察する限りでは、昼間は全く動かずに寝ている?状態になっている感じでした。
昼間はほぼ動かず、夜間餌を求めて時々移動する、というような生活を送っているようです。

狙いに行く直前にまさかの

週末に房総半島に狙いに行こう!と計画をしていると、
釣りの友達からラインが。


なんだろ?と見てみると、まさかのカスザメを持った写真!!!
このタイミングは凄い(笑)。


なんでも、ヒラメ狙いで砂浜で釣りをしていたら外道で引っかかってきたんだそう。
自分が釣ったわけでもないのに、本当にいるんだ!!と大興奮。

狙っていなかったにしてもすごい!そしてこのタイミングで僕の元に画像が送くられてくるのもすごい(笑)。


サーフの名前だけを聞き(とは言えかなり広大 笑)、
週末僕らはそこに向かう事にしました。
当初散策する予定だった場所が1/3くらいになったわけです。ありがたや。

しかし海は広い

聞いたサーフに到着すると、広大すぎる砂浜。
いや、これ。とてもじゃないが絞れない。

ナビで確認してみても、端から端までずーーーっと砂浜。

じゃあ釣ったやつに細かいポイント聞けよという話なんですが、なんとなくここから先は自分で探したいじゃないですか(笑)。

きっと魚自体も移動しているだろうし、
情報に振り回されすぎるのもよくないですしね。


しかしこの時、海のコンディションは最悪。
吹き荒れる向かい風と波の高さが尋常じゃない。


とりあえず砂浜までは行ったものの、向かい風が強すぎてルアーは前に飛ばないし立ってるだけでもツラい状況。


ちょっとサーフでの釣りは難しいな…と
いきなり心を折られてしまいました。


サーフが難しいなら漁港だろうな、むしろぶっ込み釣りのが楽だから漁港の方がいいやと思っていたら、
同行者も「サーフ荒れてるし最近釣った人がいたらしい漁港知ってるから行こう」と言い出しました。


うーん、なんだか勝手に拾ってきた情報っぽいし、なんとなく嫌だ(笑)。
そんなことは本人には言えませんでしたが、
僕は比較的近くのピンときた漁港を指定、少しだけ覗かせてもらう事にしました。



漁港に着くと、
なんとなーく釣れそうな雰囲気。
あてにならない第六感が働きます。



それに外があれだけ荒れているなら、
漁港内に逃げ込んできてるんじゃないかな?という憶測。


水族館で観察した感じでも、
そんなに泳ぎが上手な印象は受けなかったし、底でジーッとしているタイプならば荒れている場所よりも穏やかな場所を選択するはず、と。


なのでサーフのすぐ脇の漁港をチョイス。
こうしたよくわからない想像力が開拓の釣りには求められたりします。
人生には全く役に立たない能力です。



しかし釣れることもなくあっという間に夜に。
房総半島とはいえ、冬の夜の寒さはかなり厳しい。
寒くて震える中、
ルアーで狙うのは翌朝にして、
とりあえずブッコミ釣りで狙いながら
車の中で待機することにしました。



仕掛けはPE6号に親子サルカンで
リーダー95lbに20号コイ鈎、オモリは20号。
餌はサバとアジ。



餌以外はいつものです。


待てども待てどもアタリなし。
生命感が無いわけではないんですが、
さすがに場所が悪いのかな〜なんて思い始めた頃に事件はおきました。



のんびり車で待機していると、
聞いたことのない高いキーーンッという音が響きます。



空耳かな?と思っていたら、
なんと同行者の竿が一本減っていました。


え、竿持ってかれるの初めて見た(笑)。



どうやら、竿が吹っ飛んで行くときにリールが縁に当たり金属音がしたようです。
結構衝撃的だったのを覚えています。



何か大物がいるのかな…と車で待機していたら再びキーーンッ。



!?



まさかの竿2本目も持っていかれていました。


これはかなり衝撃的で、二本も竿を持っていかれる人は後にも先にもこの時のみ。
しかも一本は今回の為に新調してきたんだそう。


かわいそう。



ちなみにこれ、後で彼が寝てる間に餌を付け替えるのに触った時に判明するのですが、スプールの回転を抑えるブレーキ?をガチ締めしていて、クラッチをきってクリッカー入れているのにも関わらず、糸の出がかなり硬くなっていました。

思いっきり糸がでると糸がでる勢いよりも引く力が強くて竿ごと持っていかれてしまったのだと思います。

ブッコミ釣りをする方はご注意を…。
精神的にも財布にも環境にも生き物にも悪いです。



僕や僕の周りでもかなりの数ブッコミしてきていますが、竿を持っていかれた話はこの二本のみです。

少ない経験上ですが、しっかり設定しておけば大丈夫だとは思うのですが、心配であれば紐で竿をくくるなり対応が必要かと思います。



それから彼は釣りそっちのけでトリプルフックで竿を引っ掛けて取るのに集中していました。



高かったのに!!と怒っていましたが、、



しばらくすると…



#@p#/&pm#釣れた!#jmp/#/!!!
という興奮混じりのやばい声が聞こえてきました。



は?と思って見に行くと、
回収用のトリプルフックにカスザメが食いついているではないか!!笑



しかし抜き上げることもできず、
アタフタする彼。
どうにも手持ちの網にも入らない大きさで(網がガサガサ用なので小さい)
僕が漁港の縁にあるはしごにぶら下がり、ボガグリップで直接、釣りキチ三平ランディング!手が滑って落ちそうになりながらもなんとかキャッチできました!!



うわあああ、本当にいた!!!とこれには大興奮。



狙い通り、いや出来すぎやろ……と思いつつ目の前に現れた怪魚に目が離せませんでした。



しばらく観察、
既に2度の撃沈をくらっている身としては姿を見れただけでも大きな進歩でしたが、やはり自分の手で釣ってみたい。
何かが燃え上がります。



しかし寒さに耐えかねて僕はギブアップ。


朝を待つことにしました。


意思が弱い。


眠かったし。


いつもそんな感じです。

そしてついにこの手にもヤツが

翌日も暖かくなるまではぶっ込みで待ちつつ、ベイトリールでキャストしても指が死なない程度に暖かくなってきたタイミングでルアーを使って狙う事に。



ヒラメやコチの外道で釣れることがあるのなら、そういうルアーだろうな、と
大きなジグヘッドに
「これ使ってみてよ!」と友人からもらっていたケイティックのワームをチョイス。
以前友達から貰ったのが嬉しかったので、今回はこれ縛りでやる事にしました。



しかし投げども投げどもかからない。



ワームが悪いんかな?バイブレーションやジグにした方がいいんだろうか…
なんて悩みつつも、今回はこのワームで釣ってみたい。


ただでさえよくわからない魚を狙っているのに、更に縛りを課すあたりドMの極みです。


あ、縛りを課すとカスを掛けたわけではないので悪しからず(いらないくだり)。



何時間、何キャストしたかわかりませんが、
もう少し何かあるとやり甲斐があるんだけどな…なんて思いながら



底をダラダラ巻いていると魚がヒット!!



かなり久しぶりの魚の手応えにドキドキがとまりません。



そしてついに。



上がってきたのはアイツ……



コチ(笑)。

釣れたのは小さなコチでした(笑)。
でもこれでこのワームで間違いないなと確信。
信じて投げ続ける事となります。



コチも何気に初めてだったのでじっくり観察後リリース。良いもの見れました。



それから再び修行のようにキャストを繰り返し、
巻いてくるスピードはこんな感じかな、あの辺にやばい根があるな?なんて隅々まで把握できるくらい投げ倒した頃に
突然何かヒット!



と思ったらゴミでした。



と思ったらグニグニ動きだしました。



そう、ヤツでした(笑)。


いつだって出会いは突然

きたあああああああああ!!!


めっちゃ引いた訳ではないので、
あれれ?あれれ?と思っている間に
寄ってきた姿を見てみたらカスザメだった、という感じでした。笑



でも嬉しい!本命カスザメ!!!



カスザメ!!!かっこよすぎだろ!

遂に自分の手にも!
3度目にしてようやく!
憧れの魚が目の前に…夢のようでした。


しかも友人に託された釣りたかったワームで。
投げ倒した甲斐がありました!

さてじっくり観察しましょう

水族館でも観察はしているのですが、実際に手に取れる機会はそんなに多くないと思います。
なんとも貴重な機会を得れた…これも釣りの醍醐味ですね。

カスザメの目。サメっぽい

まずは目。
こう見るとコチとは違う目をしていますね。


体表も鮫肌なので、なんとなくザラザラしているのがわかるでしょうか?

コチ。熱帯魚のプレコストムスのようなオメガアイ。

カスザメの目がオメガアイではないところを見ると光を絞るような事はせず、やはり昼間はあまり活動していないのかな?なんて想像ができます。目の前を通るものをなんとなーく食べているのかな?

どちらも眼球にまで柄が入っているのですね、擬態する為にここまで適応するのは素晴らしいです。


歯がすごい

お次は口。
さすがはサメ、歯がびっちり。
すぐ後ろに変えの歯が後ろに見えています。
あんまり手は入れたくないですね。


コチ。わかりずらくて申し訳ない

なぜ口のアップではないのかというツッコミはさておき、
細かい突起はありますが、サメのような歯はありません。
こっちは手を入れてみてもいいですね。



カスザメの全身

しかしまあ見れば見るほど不思議な形をしていますね。
サメらしいサメと全くかけ離れたフォルム。たまりません。
やっぱりカスザメかっこいい!!!



自力開拓と言っていいのかと言われるとゼロから全て自分でやった訳ではないけれど、
この当時、少なくとも僕の知る限りでこの魚を狙って釣った、という話は聞いたことがありませんでした。

よくわからないまま、情報も殆どないまま、静岡、神奈川、そして今回の千葉と回り、今回ようやく手にした感動。。
自分の足で探す釣りには何にも変えがたいモノがあります。

一言だけ

アカメとこの魚に関しては、何故か僕のまわりでは非常に揉め事が多く、
そう言った意味で人を狂わす魚だなーと思っているのですが(笑)。


釣りというのはポイントを教えてもらってピンポイントで行き、釣り方から何から聞いて狙いにいけば比較的簡単にターゲットに会うことができます。
何より実績がある場所は信じて続けられますしね。


しかし、実際にいるのかわからない、釣り方もどうしたら釣れるのかわからない状態から1匹を釣り上げるのは決して簡単なことではありません。


コンディションが悪いだけなのか、実際にいないのか?いるのに誘い方が悪いのか。様々な不安要素がありますよね。



ルアーを変えた方がいいのか、餌釣りの方がいいのか。そもそも日を改めた方がいいのかポイントを変えた方がいいのか。。自分の憶測を信じてやるしかありません。



過程よりも結果を重視するタイプの人にはなかなか理解されないのですが、この苦労というのは想像を絶するものです。
ガソリン代や滞在費、貴重な時間や労力を使ってストイックに探し続けるわけですから。


別に海は誰のものでもありません。
ルールの範囲内であれば好きにやったらいいと思います。


しかし、少なくとも開拓した人に色々と聞くのであればそれなりに考えて動くのが大人じゃないのかな?と僕は思います。


結果に囚われて、今までコツコツとみんながやってきたものを安くするのは簡単だけども。
勝手に対抗心を燃やしてくるのであれば同じ土俵でやりましょうよ、と僕は思います。


とまあ、こんな事を書くのは僕も非常に嫌な思いをしたから。やっと釣った魚を汚さないでほしいものです。
でもそんな事を引っくるめてもこのカスザメは僕にとっては忘れられない思い出の1匹。


釣った後も色々と考えさせてくれるいい機会を作ってくれた魚でした。




タックルデータ

ロッド:ディアモンスターMX-7
リール:カルカッタコンクエスト300
ライン:アバニキャスティングPE6号
ルアー:貰い物のケイティックのワーム



ちなみに、、
サメはまずい!とよく言われますが、
カスザメは絶品。

画像がないのが残念ですが、僕が今まで食べてきた魚の中でもトップクラス(少なくとも軟骨魚類では一位?)に美味しかったです。
カスザメなんて呼ばれているのは勿体無い。どこをとっても素晴らしいサメ。



その後、タイミングが被った別のグループの人や、僕が教えた知人などで、僕の周りでは10匹前後釣り上げた話を聞きました。

不思議なことにほぼ釣れたのは昼間。
おそらくみんな寒くて夜間釣りをしていないからというのもあるのだと思うのですが、昼間の方が動かずに目の前にきた餌だけを食べているからだと思われます。

ひたすらズルズルと探っていくとそのうちアタリにあたるのではないかな?
逆に夜はそこそこ動いているのかな?というような感じがしています。



また、釣れたのは100%ルアーでした。
餌釣りではアカエイやドチザメ。僕が粘った感じでも餌では厳しいのかなーという印象でした。
泳がせ釣りだとヒラメも混じりつつカスザメも食ってくるそうですが、泳がせで狙った知り合いがいないのでこの辺は不明です。

データとしては数が少なすぎてあてにならない感じも拭えませんが、参考にしてもらえればと思います。



それと今回は冬でしたが、夏にもきっと狙えるハズ。
どなたか暇な方は挑戦してみてはいかがでしょうか。



千葉県 冬の房総半島より、カスザメでした。

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コメント

  1. 吉村 直起 より:

    はじめまして!関西圏の大学に通うものです。
    記事、とても面白かったです!
    私も、カスザメを釣りたいと思っているのですが、詳しくお話伺ってもよろしいでしょうか??

    ご返事お待ちしてます!

    • makky より:

      はじめまして。ブログを読んでいただきありがとうございます!
      先程登録されているメールアドレスからメールを送らせていただいたのですが、跳ね返ってきてしまいました。
      お手数ですが、ホームのお問い合わせより連絡先など再度送っていただいてもよろしいでしょうか?
      よろしくお願い致します。

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