僕らのアリアケウォーズ エピソードI〜ファントムフック〜/ムツゴロウ 福岡県有明海

これは2015年10月、人生で2度目の有明海に行った時のお話。

2015年の夏に全都道府県制覇、

当時目標としていた日本の水族館122館を沖縄の美ら海水族館で達成した僕は

とりあえず日本一周目はこの辺かな、と一区切りしました。

日本二周目はちょっと変化をつけて、

今まで単独釣行が多かったので、面白い人に会いに行ったり、誰かと釣りをしたり、そういうのを組み込んでいこうと思いました。

そんな中、僕が当時最も気になり、

一度会ってみたいなと思っていたのは

福岡県在住、有明海の賢人こと小宮くん。

少しSNSで絡みがある程度でしたが、その投稿のヤバさ(色んな意味で笑)に思わず声をかけさせてもらいました。

17歳でアフリカひとり旅とか行っちゃう変態(褒め言葉)

さすがにいきなりすぎて断られるかな、とも思ったのですが、

彼は快くオッケーしてくれて、憧れの有明海のガイドをしてもらうことに。

面白いヤツに会えるぞ!という喜びと、有明海の魅力的な生き物達が見れるかも知れないワクワク感とでどうしようもなく楽しみな遠征でした。

釣ってみたい生き物はたくさんいましたが、今までの経験上あれもこれも狙うと全てボウズをくらうことも考えられたので、

その中でも有明海の代表とも言えるムツゴロウを第一ターゲットとして案内してもらうことにしました。

まあムツゴロウよりも彼の方が気になって仕方がなかったのは言うまでもありませんが。笑

有明海といえば泥干潟

九州北部に広がる海、有明海。

かつて、中国大陸と陸続きだった名残のある海です。

閉鎖された場所で独自に適応していった淡水魚に比べると、海にいる生き物はどれも似通っている事が多いのですが、

ここ有明海の生き物達は大陸と繋がっていた頃の生き物達が取り残され、大陸と離れた後も日本の環境に適応していった為、独特な生物相をしています。

また、海そのものも少し特殊で、

九州最大の河川・筑後川をはじめとする流入河川の多さや、日本最大の干満差最大6mといった環境はとても新鮮なものでした。

その干満の差により干潮時は広大な干潟が顔を出します。

どこまでも続く広大な泥干潟

有明海の1つの特徴とも言えるのが泥干潟。

南へ行くほど砂干潟になってゆくのですが、北部の湾奥部はほぼ泥干潟になっています。

この泥はヘドロとは全くの別物で、

その証にここに住む生き物達を食べても全く臭くありません。

この泥により濁った海、潮が引くとどこまでも広がる泥干潟。

有明海には独特の世界が広がっています。

ムツゴロウを釣ろう

有明海を知らない人でも聞いた事があるよ、というのが多いムツゴロウ。大型のハゼの仲間です。

このムツゴロウ、潮が満ちている間は巣穴に潜り、潮が引いている時間帯だけ出てきて干潟を這い回るような生活を送っています。

その為、狙うとなると干潮時に限られます。

基本的に有明海の釣りは常にタイドグラフを頭に入れ、

ムツゴロウやカニのような干潟に出てくる生き物は干潮時、

逆にスズキのような魚を釣るのであれば潮が満ちてから狙っていくことになります。

というわけで干潮に合わせ、小宮くん(当時高校生)と合流。

イマドキの高校生とは思えないほど好きなものに対して貪欲に勉強していて、有明海に限らず様々な事に詳しくて驚きました。

僕も有明海の生き物に対してある程度知ったつもりでいたのですが、実際に有明海に通っている彼から出てくる知識や経験を前に全く知らなかった事を思い知らされます。まさに百聞は一見に如かず、興味のあることは積極的にやっていかんとなーと思わされました。

何より凄いなーと思ったのは、頭でっかちではなく自分なりに分析し、答え・考えを持っていたこと。

大人ですらネット情報を鵜呑みにしてしまう時代の中で、本当に歳下?笑 と思うほどしっかりした考えの持ち主でした。

こんなアチコチで釣りしながら遊んでていいのかな…と自分自身の在り方に不安を覚えるほどだったのを記憶しています(笑)。

ポイントに到着するまで、有明海の話、有明海の生き物の話、遠征の話…色々な話を聞かせてもらい、既に旅費の元はとったなとニヤリ。

この時は長い付き合いになるとは思っていなかったのですが、その後何度も有明海に足を運ぶたびに彼にお世話になることとなります。

さて、話に夢中になっているとあっという間にポイントに到着。

有明海と小宮くん

目に入ってきたのは見渡す限りの泥干潟!

そしてお目当のムツゴロウ。

あちらこちらで威嚇し合ったり、泥の上を張ったりしています。

ムツゴロウは食性が少し特殊で泥の表面に生えた藻類を削ぎ取って食べていて、

釣りで狙う場合、口で食べさせるのは至難の技。

ではどうやって捕るかというと、

現地では「ムツかけ」という引っ掛け釣りで捕まえています。

しかしこの有明海、下は泥の干潟。数歩踏み出せば身動きがとれなくなるほどで、素足でムツゴロウの近くに行くのはほぼ不可能。

そこで現地の漁をしている人たちはガタスキーという大型の板に乗り、それで滑りながら静かにムツゴロウの近くまで寄って行き引っ掛けます。

とはいえ、遠征組の僕がガタスキーを手に入れる事は難しかった為、「ムツかけ」で狙うのは諦めることに。

実際に見てみても、少し寄っただけで無数にある巣穴に隠れてしまうムツゴロウたち。

やはり違和感を感じるとすぐに隠れてしまうので、間合いに入るのは本当に難しい魚のようです。

そこで小宮くんのアドバイスで、とある方法(敢えてここでは紹介しません、模索してみてください)で、

この間合いをつめる事が出来ることが判明。

少しコツがいるものの、やってみるといともあっさりと釣る(引っ掛ける)ことに成功!

確かに聞いてみれば簡単な事でも、実際に思いついてやって結果を出せるかどうかは行動力次第。

他の事にも応用できそうですし、勉強になりました。

そして遂に念願のムツゴロウがこの手に!!

ムツゴロウは思っていたよりも大きかった

泥干潟を跳ね回る姿を見た段階でも想像以上に大きいな、という印象でしたが、

手にしてみると更に大きく感じ、背びれもなんだか宇宙を彷彿とさせる柄をしていますね、大げさでしょうか。

歯がすごい

この歯で泥の中の珪藻を削ぎ取って濾しとって食べているのだそう。ぱっと見強烈ですね。

噛み付いてきたりするような事はないので凶暴という訳ではないのですが、

縄張り意識が強いのか近づいてきた同種やあるカニに対しては積極的に追い払いにかかっていました。

食性の違う種類に対してはあまり威嚇しないそうなので、ここの藻は俺んじゃー!!と追い払っているようです。

口の中が凄いんですよ、と小宮くんがいうので見てみると…

真っ黒!

なんでこんな色してるのでしょうか!?

予想外の姿に想像力が働きませんでした。

別に泥がついて黒くなっているのではなく、元々こういう色のようです。

また、目も最も高い位置についていて、よく周りを見渡せるようになっています。

広い干潟とはいえ、鳥に狙われたら勝ち目がありません。

すぐに巣穴に隠れる能力はこんな体の作りからもきているんですかね。

ヨチヨチと胸ビレで張って歩けます

こう見るとトビハゼにそっくりですが、

実際に見比べると倍近い大きさや、体の作りもガッチリとしています。

こちらは沖縄にいたトビハゼ(ミナミトビハゼ?)

食べてみました

有明海の海の幸

何匹かキープさせてもらい、

小宮くんの知り合いが調理してくれるということで食べさせてもらうことになりました。

本当に何から何までやってもらってしまって頭が上がりません。

座ってわいわい話していると奥から調理されたムツゴロウがでてきました。

本当に僕は何もしてません。ありがたや(笑)。

まずは煮付け

煮付けた味がしました。

お次はお刺身

ムツゴロウは頭が大きい為、身は思っていたよりも少なめ。

味は悪くないのですが、もう少し頬張りたいなーという欲求に駆られます(笑)。

コリコリと歯ごたえはよく、噛めます。

そして塩焼き

この時10月、半ズボンでは結構キツい寒さで、僕は九州は暖かいだろうなーという偏見で半ズボンで行ってしまい後悔をしていたのですが、

何故か地元なのに小宮くんも半ズボンできて震えていました。本当に彼はヤバいヤツです(笑)。

でも暖をとりつつ七輪で焼くのはなかなかに楽しく、それも遥々関東から九州まで遠征できたとなれば噛みしめるものがありました。

味も個人的に塩焼きが一番香ばしくて美味しかったように感じました。

結論:ムツゴロウはうまい!

はい、最後を食レポにしてしまうと全く締まりませんね。

この遠征、ムツゴロウ以外にも色々と釣れたのですが、とりあえずはムツゴロウにフォーカスを当ててのご紹介でした。

ちとシリーズものにしたいのもありまして(笑)。

個人的に国内でもトップクラスに面白いのが有明海。

みなさんも是非一度足を運んでいただけたらなーと思います。

有明海より、ムツゴロウでした!

最高に楽しい遠征になりました!

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