幸せの青い鱚/アオギス 福岡県

「アオギス狙いに行きませんか?」
そんな話を結構前からもらっていた。
誘い主は誰が呼んだか有明海の賢人こと小宮君。


有明海の賢人小宮くん。変人でもある。






正直最初は、キス?なんでまた。と思っていたものの、調べてみて納得。
アオギスはシロギスと違い、東京湾では既に絶滅してしまった魚だという。
砂地に生息する彼らは干潟の埋め立てに非常に弱く、開発の影響を受けやすい。
そしてアオギスに限らず、干潟に依存している種類は多く、便利になる代償としてひっそりと絶滅しているものもいるのだ。
そんな種がまだ九州の方では生き残っているらしく、見に行こうと。
ナイスなお誘いである。

シロギスは釣ったことあるんだけれど






とりあえず何もわからないので、
キスの事を調べてみるとどうやら釣れやすいのは産卵のため接岸する6〜8月頃のようで、こういうのはがむしゃらに行っても釣れないのは今まで散々経験してきているので、その時期に絞って僕達は狙いに行くことに。


釣り方はきっとシロギスと同じでいいんだろうな、とは思ったけれど、
シロギスも釣った事はあるものの真面目に狙った事がなかったので狙い方がイマイチわからない。
とはいえ、ファミリーフィッシングで親しまれている魚ですよ。
ちゃんとやれば釣れるハズ。そんなノリで行くことに。
そう、いつも通り結局全然調べてないのである。







というわけで時期をみて九州へ

7月の終わりの三連休、まず僕が向かったのは福岡空港。
空港まで小宮君が来てくれるということで合流する事に。
僕らは住んでいるのが埼玉県と福岡県なので、会うことってほとんどないと思いきや、年2.3回は会っているという謎(笑)。


今回ポイントも何もわからないので、とりあえず生息しているであろう海へ向かうことに。
大分県の方でも釣れるのではないかなーと思っていた僕の予定とは裏腹に、小宮くんが指定していたのは福岡県。
これは大人しく従っておこう…こういうのは小宮君ちゃんとしてるからな…と第1ポイントへ向かいました。




到着してみると潮も満ちていて、なかなかいい感じ…と、キャストしてみると結構浅い。
うーん、こんな場所なのかな?と思いながら探る横で、
「トビエイ!!トビエイですよ!!」とテンションが上がる小宮くん。
一度採った生き物に対しては驚くほどドライな彼ですが(笑)、初めて見る生き物には異常なテンションの高まりを示します。


やっていくと、小宮くんがハゼを釣り、僕はアタリすらない。
こういったいるのかどうかわからない魚を探す場合、難しいのが切り上げるタイミング。
当然いないのならばすぐにでも移動したいし、粘って獲れるのなら粘りたい。
この辺の駆け引きって本当に難しくて、毎度悩まされます。




結局、◯◯時になったら移動しよう!と決め
あっという間にその時間に。
だらだらと駄弁りながら竿を出していたくもあったが、
延々と同じポイントからうごけなくなりそうだったので
すぐに片付けに入る。
片付け始めると用意した長いキス仕掛けを片付けるのがめちゃくちゃめんどくさい事に気づいたのは言うまでもありませんでした。


そしてその後いくつか回ったものの、干潮で行ったポイントは魚いないでしょう…というくらい浅い場所も。無計画すぎた。
でも正解か不正解かわからないこの感じは宝探しのようでワクワクしますね。
時間と共にそういう感情は焦りに支配されるのだけれども(笑)。


ウロウロとすること4ヶ所は回っただろうか。
冒頭にも書いた通り、キス釣りというのはファミリーフィッシングで親しまれている釣りでもある。
決して難しいなどという事はないはず…である。


何故我々は幸せになれないのか、
幸せとはなんなのか、
何故釣れないんだ、
とブツブツと呟き出す我々。


ある情報によるとアオギスは幸せを食べて生きているらしい。
アオウオが時間を食うように……。
とても危険な魚である…。


そして初日は終ぞその姿を見る事はできず、あっという間に暗くなっていったのでした。
1日が早かった。





そして2日目

この日は前日回った1番良さそうな場所で粘る事にし、
場所を確保する為に朝イチからポイントへ。
潮が引くと干潟が顔を出す場所だけに、潮が多い時間帯に絞らないと釣りにならなそう。


早めに行ったものの、着いた段階で水はあったのでさっそく竿を出してみると
すぐに答えがでました。










ハゼ、である。






お前ではないー。




その後もハゼ、ハゼ、ハゼ。


あれ?ハゼ釣りにきたんだっけ?というくらいハゼである。




ここで思い出されるのはこの私、
「あ行」で始まる魚とすこぶる相性が悪いということ。
「あ行の呪い」なんて呼ばれて親しまれております。




イトウを釣りに行った時は車を廃車にしてきたし、
アカメを釣りに行った時は高速道路でガス欠。
オオニベの時はバッテリーがあがり、
アオウオの時はパンク2回、スタックして動けなくなり車を放置して帰ることもあった。




そんな事を思い出しうんざりする僕の横で、イソイソとリールを巻く小宮君。
竿を見ると心なしか重そうだ、これはもしかして!?










小宮さんがキスを釣り上げた










マジか!
シロギスか、アオギスかー!?






特徴でもある背鰭に柄が入っているかを確認すると、、






柄入りの背鰭


入っている!アオギスだああ!!!!






本当にいた!と感動する我々!
初めはシロギスとアオギスで違いが分からなかったらどうしよう?なんて思っていたけれど、
実際に見てみると全然違いました。
アオギスの方が全然かっこいい。


いい型がかかったのもあるけれど、元々シロギスよりも一回り大きくなるのもあってか立派でした。




これは釣れるわ!!と意気込む僕。




しかしその後も釣れるのはハゼ、ハゼ、ハゼ。ナゼ?




更には小宮君から仕掛けを借り、餌を付けてもらい(笑)、指定されたポイントへピンポイントで落とし、言われた通りに動かす。




それでも釣れるのはハゼである。




ハゼ、ハゼ、ハゼ、、。




あ行の呪いである。




そして極め付けはハゼに苦しむ数m横で小宮君の放っておいた竿が倒れる。




そしてなんと巻いてくるとキスがかかっていた(笑)。


一体何が起こっているのだ……








僕がハゼを釣りまくってる間に、
ちょこちょことキスを釣ってゆく小宮さん。
ナゼだ…。
彼が最強にキス釣りが上手いのかもしれない。




結局このまま満潮も過ぎ、パタリとアタリがなくなったところでタイムアップ。




シロギス、アオギス共に釣れた小宮さんと、
ハゼを3桁はかけたんじゃないかという僕。
おかしいな?キス釣りにきてんだけども。




悔しいな〜と思いながら
小宮さんは翌日用事があったので一度送り、
というか本当だったら一緒に料理をしたり何やらして遊びたい所だったんですけど、
釣れなかったので最終日の3日目ももうひと踏ん張りさせてもらうことに。
わざわざ時間作ってくれたのに本当に申し訳ない…。




戻ってからの空き時間でやったタナゴ釣りではわりとサクッと本命のセボシタビラが釣れました。

色々と、なんでやねん(笑)。







そして最終日の3日目

この日も少し早めにポイントに入り、
前日と同じようにやっていくことに。
前日まで一緒にやっていた人がいないのは少し寂しい(笑)。




1時間経ち、2時間経ち…良い感じの時間に突入。




が、何かおかしい。
そう、昨日まで嫌という程釣れたハゼすら釣れなくなったのである。


更にはトラブルでラインが全て放出され、
1番良い時間にラインがゼロになる始末。

おかしいだろ






もうなんでしょう。本当に呪われているんですかね。


急いで釣具屋へ駆け込みラインを買って戻るも、
いい時間は刻一刻と進んで行き、
結局最終日のこの日もハゼがポツリと釣れただけで、本命のアオギスを見ることはできませんでした。




容赦なく引いていく潮に絶望を感じながら。
僕の夏は終わったのであるーー。









泣きの4日目

このまま来年かとも思ったのですが、
乗りかかった船 このままでは終われない!
それから2週間後に無理矢理 予定と財布をこじ開け、土日でのチャレンジ。


しかし恐ろしい事に、週半ばで航空券をとった翌日に台風が発生。
もしかしたら飛行機が飛ばないかも?なんて思っていたら、更に西へ西へと進路を変更し、福岡へ向けて突き進んでくる始末。
これを呪いと呼ばずなんと言おうか。
いきなり不安である。。

困難のタネが。もうやめてくれ






とりあえずこの日の時合いは7時前後。
朝一便で行ってもポイント到着はおそらく9時は過ぎる。


なんとか前入りできないものかと調べていると
なんと深夜便があるではないか!
というわけで深夜便で前日入り、深夜料金になっている高いレンタカーを借りて挑む事に。必死である。。




到着してから移動したり餌を購入したりなんだりして、結局2.3時間しか寝れませんでしたが、
来てしまったんだやるしかない。


最近こんな遠征ばかりで体に負荷かかりまくってますが
気にしない事にしています。




そして竿を出してしばらくした頃……






やっと…


念願のアオギスが釣れました!!






小宮くんの釣れた個体を見ていたので、自分で釣ってもそんなに感動はないんじゃないかと思ったけれど、
そんな事はなかった!めっちゃ嬉しい(笑)。




シロギスと比べて
顔がシュッとしていて長く、
柄入りの背鰭、
腹ビレの綺麗な黄色や、
本体のなんとも言えない青みがかった体色がなんとも美しい。

上がアオギス、下がシロギス






サイズの差も勿論あるんだけれど、
アオギスの方が貫禄があってかっこいい。
シロギスのピンクがかった体色も美しくて好きなんですけど、アオギスの美しさはそれを越えていました。
写真だと伝わらないのが悔しい。

顔つきはシュッとしている。美鼻である。




腹鰭がとにかく綺麗




特徴でも柄入りの背鰭




結局その後追加はなく、
僕はこの1匹と無限のハゼが釣れました。




なかなか苦戦したけれどきて本当によかったです。



釣りに行ってわかったこと

東京湾では絶滅してしまっているという補正もあって、かなり珍しいのかと思って臨んでいたのですが、
帰り際にキス釣りをしていた方に声をかけてみると数匹に1匹は混じるとのこと。
実は結構いるんですよね。


味はシロギスの方がいいと言っていて、確かにインターネットで調べてみてもよく書いてある。
アオギスの方が型がいいけど、シロギスで大型個体がかかるのであればそれ方が嬉しいと言っていましたが果たして…?


前回釣った小宮くんの食べ比べではアオギスの方が美味しいと言っていたし、
調理法や時期なんかも関係しているのかもしれない。これはこれで興味深いですね。


また外道ではスズキ、夜だとコチやヒイラギなんかも釣れました。
あとハゼね。

コチ


今まで真面目にキス釣りをしたことがなかったけれど、色々と釣れるのも楽しい。


大きな個体が釣れると言うことはやはり産卵で寄っているのか、数ヶ月ズラして今度は小さな個体を採ってみるのも面白そうですね。




そんなこんな、とりあえず目的を果たしたので、その後またもや無理矢理時間を作ってもらって小宮くんのところにお邪魔することに。




何しようか?という話になった時に、
見たかった生き物はほぼガイドして採らせてもらった事に気づく。
なかなかないですよ、毎度埼玉から遠征して採らせてもらえることなんて。すごい事ですよね。
いつも感謝です。


そしてもう一度セボシタビラを狙いに行くことに。
台風が接近する中タナゴを探してウロウロする二人。
完全に変人である。




ついでに前にお願いして見せてもらったヤベガワモチなんかも見に寄ってみたり。


相変わらず素晴らしい造形美




淡水域でもタナゴ各種やカマツカをはじめ色々と見れました!


ヤリタナゴ!




結局セボシタビラは現れなかったけれど、
色々と見れたし個人的には大満足!


僕は帰りの飛行機が、
小宮くんは翌日予定していた遠征の飛行機が飛ぶのかどうか気が気じゃなかったけれど、
そんなのも含めて楽しかった!




最後に小宮くんの作ったエツの干物をいただき、
僕の夜の飛行機も翌日の小宮くんの飛行機も無事飛び、
僕らは幸せになれました(笑)。


有明海にも遊びに行きたいな






結構苦戦したけれど、見れて本当に良かった。
いい夏の思い出になりました。


小宮くんも本当いつもありがとうね!

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