淡海湖に棲むザリガニ / タンカイザリガニ 滋賀県 淡海湖

タンカイザリガニというザリガニを知っていますか?
あまり馴染みのない名前のザリガニですよね。
調べてみるとどうやらウチダザリガニに近いようです。


といってもウチダザリガニも知らないよという人も多そうなので、日本に生息するザリガニの紹介からしたいと思います。

日本にいるザリガニ

ザリガニといえば水辺で遊んでいると見る機会の多い生き物の一つですよね。
とても身近な存在ですが、
実は日本には3種類のザリガニが生息しています。


一般的によく見られるザリガニはアメリカザリガニ。
元々日本には生息していなかったザリガニですが、
全国的に広く分布しています。

子供の頃から馴染み深いザリガ二。採ったひとも多いのでは?





それと日本在来のザリガニ、ニホンザリガニ。

元々日本に生息していたのは本種のみ




よく脱皮したてのアメリカザリガニや稚ザリガニを指してニホンザリガニという人もいますが、
北海道と東北の一部にのみ生息しているのであまり見る機会はないんじゃないかな?と思います。




最後に結構大型化する特定外来生物に指定されているウチダザリガニ。

ウチダザリガニ




ニホンザリガニと好む生息環境が似ていて、
ウチダザリガニの方が大型化するのもあって問題になっています。
そしてどうやらタンカイザリガニというのはこのウチダザリガニに近いらしい。
実際に見てないとなんともいえないですが、見た目はかなりそっくりそうだ…。


この他にも、ペットルートで出回っているものを逃したと思われる青いザリガニ(アメリカザリガニのカラーバリエーションの一つか、フロリダハマーと呼ばれる別種)や、
ミステリークレイフィッシュという1匹で殖えるザリガニなども見つかっているようですが、
古くから分布しているという意味で3種類の紹介です。


この3種以外のザリガニ、タンカイザリガニ。


ザリガニについて知ったつもりでいましたが、聞いたことのないそのザリガニがいると知り、非常に興味深く思い行ってみる事にしました。


滋賀県の淡海湖

滋賀県北部の方にある湖、淡海湖。
関東住みの自分には全く馴染みのない場所で、
どうやら結構山の上の方らしい。


琵琶湖の脇の通りをひたすら走り、
そこから少し入って行くと徐々に細い道になっていき、山道になっていきます。
グネグネと曲がった山道を登っていくと、頭と同じくらいの落石がゴロゴロ。


落石やら倒木やらで結構ヒヤヒヤでした。
そんな道を10km以上進みます。

あら綺麗。




ひたすら、ひたすらに登って行くとついに淡海湖に到着。

道中の写真がないのは撮ってる余裕がなかっただけです(笑)。


なんだか想像していた湖とは違った



もっと森々した中にあると思っていたのですが、
結構殺伐とした中にあって違和感。
実は淡海湖自体が農業用に人工的に作られたため池なのだそう。


こんなところにいるのか!?という疑問をもちつつガサガサ。
すると!

タンカイザリガニっ…ではなく、テナガエビ




一瞬だけ期待してしまいました。


この他、無数のバスとギルを確認。
タンカイザリガニは目視では見つけられず。
というかここじゃないな。
いたとしても深場にいるな。
ということで移動。



そしてしばらく走ったところで良さそうな沢を発見。


いい感じの沢!




以前、ニホンザリガニもウチダザリガニも捕まえているので、
いるような環境のイメージと一致。
まさにこんな感じ!!!という雰囲気。
とりあえず入ってみましょう。


アカハライモリ




小さいサワガニ



小さいな!


タカハヤかな







そしてそして…

いたーー!!




これがタンカイザリガニ!!

よく見るアメリカザリガニとは見た目も全然違う…けれど、ウチダザリガニとそっくり。
というかウチダザリガニだろお前!!



タンカイザリガニとは何者か

ウチダザリガニそっくりのこのタンカイザリガニ。
調べてみると、ここ淡海湖にしか生息していないとされていますが、
かなり昔に放流された記録もあったそうで、
元々ここに生息していたザリガニではないことが明らかになりました。


更に調べていくと、
アメリカ原産のザリガニを北海道を中心として放流されたものがウチダザリガニ、
ここ淡海湖に放されたものだけがタンカイザリガニと呼ばれて別に扱われていたそうです。
そして現在ではどちらも種としてはウチダザリガニなんだそう。


淡海湖には1926年に放流された記録があり、
歴史としては90年以上になります。(2018年現在)
そしてこの地域では環境のシンボルとして大切に保護されてきたんだとか。
その保護してきた生き物が実は外来種、
それも特定外来生物(生きたままの移動、飼育繁殖禁止)だったなんて結構ショッキングですよね。


更には駆除すべきだという意見まで飛び出し、
保護すべきか駆除すべきかで対立しているそう。


事実、北海道では駆除が進む中で、このザリガニをどう扱って行くべきかは悩ましい問題ですよね。


低水温でないとダメな点や移動力の乏しいこの種が
このエリアに対してどれだけ影響が出るかは不明ですが、
90年以上も昔からこの淡海湖では保護対象とされてきたそうで、
今更駆除をしなければならないほどの影響があるのかは不明です。


北海道のようにニホンザリガニの生息するエリアでは
間違いなく競合してしまうでしょうし、
より体の大きなウチダザリガニの方が有利になり、
ニホンザリガニは数を減らしていってしまうでしょう。
そういうエリアに関しては積極的に駆除していくべきですが、
ここ淡海湖のように人工的に作り出されたため池、それも結局上流の方にしか分布していないのを見ると今すぐにでなくてもいいのでは?なんて表面的には感じてしまいますが…
自然は複雑なのでそんな簡単な問題ではないのでしょうね。

タンカイザリガニはかっこいい

そんな背景はちょっと置いておいて(汗)、
とにかくザリガニ自体はとても魅力的なものでした。


保護されてきたからか、立派な個体も多く、
以前北海道や福島で見たウチダザリガニよりも大型個体が目立ちました。


素晴らしいフォルムじゃないですか?




ニホンザリガニ同様、爪の裏は色が違います




オス!爪も立派だし、見るまでもないかもですが




ハサミがとにかく立派でかっこいい!


苔むした背景にザリガニというのも、アメザリしか知らない人からすると変な感じなのでは?


タンカイザリガニは今後どう扱われていくのか…





複雑な背景を感じつつもどんな生き物も野生で育った姿は素晴らしいですよね。
かっこいい姿を見れて嬉しかったです。


ウチダザリガニは味もかなり良く、ボイルして食べるとめちゃくちゃ美味しいのですが、
特定外来生物に指定されている為、生きたままの移動や飼育繁殖は法律で禁止されています。
厳しい罰則がありますので注意が必要です。




ちなみに帰り道…

倒木により通行止め(笑)。





大きく遠回りさせられました。
気分が良かったのでなんでもよかったですが(笑)。


結局タンカイザリガニはウチダザリガニでしたが、
これで一応分けられている
ニホンザリガニ、
アメリカザリガニ、
ウチダザリガニ、
タンカイザリガニと
国内に生息するザリガニはコンプリート!
収集癖があるので、ついつい全て見たくなってしまいます。今回は特定外来生物なのと、複雑な背景もあるので全て観察後にリリースしました。
自分の中ではタンカイザリガニはタンカイザリガニとしておこう。関東からだと遠いし(笑)。







それとは別に
番外編ザリガニとして以前釣り堀で釣ったウミザリガニなんていうのもいます(笑)。

いわゆるロブスター。
オマールエビです。



ウミザリガニと呼ばれるだけあって
確かにザリガニっぽい見た目していますね。
タンカイザリガニと関係のないシメですみません(笑)。

そのうちロブスター釣りも書きたいな
注)これはタンカイザリガニではありません

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