清流に棲むナマズ / タニガワナマズ 東海地方

2018年、ナマズ属のナマズが1種類新種記載されました。
その名もタニガワナマズ。


タニガワ?人の名前?と思いましたが、
山間の川の谷川からきています。


ナマズ釣りと言えば近所のドブ川でも釣れる割と身近なものですが、
そんなナマズの仲間が山間の綺麗な清流にいるのは
なんだか不思議な感じがしますよね。


現在分類されている日本に生息しているナマズ属のナマズは、
マナマズ、イワトコナマズ、ビワコオオナマズ、そして今回のタニガワナマズの4種類。


全国的に分布するのはマナマズ。だいたいナマズといえば本種を指します。
その他のイワトコナマズ、ビワコオオナマズに関しては琵琶湖周辺水域のみに生息しています。
(移動によって別の水域にいた例もあるようですが。)


このタニガワナマズは東海・中部地方に生息し、水の綺麗な琵琶湖の湖北を中心に生息しているイワトコナマズに分類上近いそうです。
それなら綺麗な清流に生息するのもなんだか納得しますね。


新聞に記載された新種発見の記事は三重県の河川が出ていたそうで、
それなら三重以外の場所で狙ってみたいと思っていたら、
岐阜で釣れた!という友人がいたので案内してもらうことになり、
今回は岐阜の川へ実際に見に行ってみることにしました。


いつもなら開拓ぢゃあ!!と言いたいところですが、
この種はまだ記載されていないエリアを探し出す方が面白そうだなーと思い、
とりあえずどんなところに生息しているのか観察する為、友人にお願いすることにしました。

釣りで狙っていく



今回はルアー、餌の両方で狙ってみる事にし、
餌は鳥のササミ、ミミズ、魚の切り身などを用意。


釣れるかどうかわかりませんが、
仕掛けを3ヶ所に投下し、しばらく待つことにしました。


仕掛けは針に餌をつけただけのものや、
錘をつけて沈めてみたり様々です。


1つ入れ、ちょっと離れた場所に2つ目、3つ目を仕掛け、待ちます。










と思っていたら最初の仕掛けに戻るともうかかっていました。
開始5分経たずでしょうか(笑)。



おおきい!




見分けのポイントとしては上顎の歯帯が分かれているかどうかというのが一番見分けやすいポイントなのでチェックしてみます。

二列ある下側、中央で分かれています。




分かれています。いきなり本命、タニガワナマズ!
分かれているかどうかで見分けるのは100%ではないそうなんですが、だいたいはここで見分けるのが早いような気がします。


ビックリしたのは大きさ。
よくネットに上がっている画像を見るとそんなに大きくない印象があったのですが、この個体は60cmオーバー。
こんなに大きくなるんですね。。
ウィキペディアで調べると51.4cmが最大と書かれていましたが、どうなんでしょう?



そして続いて釣れたのはマナマズ!!
比較対象として見やすいですね、
空気読めるナマズ!素晴らしい!

マナマズもいるのか…




こいつも釣れてかなり驚きだったのですが、
その辺のドブ川で釣れるマナマズがこんな清流にいるのか!!という発見でした。
やはりなんでもやってみないとわかりませんね。


分かれていません。




結局一晩でテキトーにやって10匹いかないくらいでした。

スイッシャーでも釣れました


本気でやれば一晩で2桁は釣れると思います♫
という感じでした(笑)。


第2の見分けるポイントとして、
お腹の方まで柄が入りやすい傾向があるようです。


釣った直後はあまり気になりませんでしたが、時間が経つとハッキリと柄が出てきました。




歯帯の分かれた個体とそうでない個体を比べてみると、
分かれている個体はどれも腹まで柄が入ってきました。
これは魚の興奮状態によっても左右されるようですが、
同じ条件でスカリに入れておいた魚が
同じ傾向にあることを見るとどうやらタニガワナマズの方は柄が出やすいのかな、という印象でした。


細長い体系が流れに適応しているようでかっこよかったです!


気になるお味

ナマズって実はとても美味しいんですよね。
以前、爬虫類学会だったか、スネークセンターで開かれたイベントにナマズの天ぷらを持ってきた方がいて食べさせてもらった事があったのですが、
ふわっふわでとても美味しく、いつか自分でも作ってみたいな…と思っていました。


が、さすがにその辺のドブ川で釣ったのを食べる勇気はなく(笑)、
いつか綺麗なところで釣れたらなーなんて妄想はしていたのですが、
まさかこんな機会が訪れるとは!


今回先輩がしっかりBBQセットを持ってきてくれていたので、その場で蒲焼きにして食べてみることに。
準備が良すぎですね、さすがです(笑)。

ちょっと移動して、やっていきます。

身はこんな色






いい香りが広がります




ウナギのタレを少しずつかけて焼いていきます。
しっかり炭火で焼きます。


絶対美味しいに決まっている




完成!


食べてみると…臭みもなく美味しい!!
ウナギの蒲焼には勝てない壁は感じるものの全然合格点でした。
脂たっぷり、でも少しパサパサしていて、
ウナギとサバを足して2で割ったような味!という結論でした。


ちなみにマナマズも一緒にやってみましたが、
ほぼほぼ味は同じ。というか全く同じ。


同じ環境にいるし、似通った味になるのかな?


持って帰って家でも食ってみました



蒲焼き向きの味ではないのがわかったので、
家で他の料理も試してみることに。

まずは定番、煮付け




ぐっはー抜群に美味しい!
パサパサ感が煮付ける事によってよくわからなくなっています!!


お次は天ぷら



大きく切りすぎたのでドーナツみたいになってしまいましたが、
天ぷらの味がした!!!


そして唐揚げ



おいしい!唐揚げだ!!!



そして一番美味しかったのは…

お刺身



自己責任で!!!というか絶対にオススメしませんが、
個人的に一番美味しかったのはお刺身でした。
冷凍して寄生虫やらを殺してから食べるのがセオリーですが、
冷凍温度が業務用のやつじゃないとダメだとか、
味が悪くなるだとか色々聞くので、
自己責任で食ってみることに。
本当に真似しないでくださいね(笑)。


先輩からの又聞きですが、
イワトコナマズは刺身が一番美味しいというような話を聞いていたので、
これはタニガワナマズも絶対美味しいだろうな、と。


実際かなり歯ごたえもよく、
脂もノリノリだったのでとてつもなく美味しかったです!淡水魚とは思えない美味しさ。
どれもとっても美味しかったですが!!


タニガワナマズは希少種なんじゃないの?
と言われる方もいるかもしれませんが、
まだ詳しい情報がないだけで、いるところにはたくさんいるのだと思います。
三重で釣った人も結構な数いると言っていましたし、
ここ岐阜県でもかなりの数がいました。

とはいえ、上流域の魚ではあるので乱獲は避けた方がいいと思いますけどね。

今後色々な人が狙いに行く事でもっと様々な情報が出てくると思いますが、
タニガワナマズが琵琶湖や余呉湖に閉じ込められて進化していったのがイワトコナマズなんじゃないかな?と思っています。
イワトコはまだ釣った事がないのですが、こいつも歯帯が分かれていたり、腹まで柄が入っていたりと類似する特徴が多いようです。
色々な情報を集めていくともっと色々な事がわかってくると思うので、タニガワナマズを含めたナマズ達がどのように進化し分化していったのか非常に興味深いです。




それと周辺でのガサガサでは上流域に生息するアジメドジョウやアカザなんかがいました。

アカザ
こいつもナマズの仲間です



こういう魚の生息するような清流にナマズがいるなんて、本当に面白いですよね。
これだからフィールドに出るのはやめられません。
今後は機会を見て、別の川や発見のない場所でも探していきたいと思います!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。