生き物を飼う楽しさと、そこからわかること。




僕が本格的に飼育を始めたのが中学生の時。
最初の入り口は熱帯魚でした。


「世界をテーマに何か調べろ」という学校の課題に、
当時まだ普及し始めたばかりのパソコンで、「魚 世界」で検索、
するとガーパイクやピラルクなど様々な魚がヒットしました。
海外にはいろいろな魚がいるなあと調べだすと、あっという間にその虜になってしまいました。
特に気になったのが古代魚というジャンル。
幼少期に恐竜好きだったのも手伝い、そのワードは物凄いインパクトでした。


世界はすごいぜ・・・と思いを巡らせていたら、
なんとそれら古代魚が買えるということが判明。
まだこの頃はペットと言えばハムスターやウサギ、モルモットくらいしか知りませんでしたし、
売ってるの!?こんなカッコイイ魚達を飼うことができるのか!!!と一気に世界が広がりました。
すぐにペットショップに駆け込んだのを覚えています。


幸か不幸か家から自転車で20分くらいの所に熱帯魚専門店があり、
毎週のように通える状況。
そんなに広い店舗ではなかったものの、
店員さんのマニアックさもあり一気に加速していきました(笑)。


中学生のおこずかいではエサ代でほぼ消えてしまうくらいでしたが、
いつかはこれを飼いたい、大人になったらこうやって飼うんだ!という願望はたくさんありました。
お年玉で90cm水槽を買ったり当時のワクワクは今でも鮮明に覚えています。


以降、何年経ったのかわかりませんが、
爬虫類や両生類にも手をのばし、
常になにかしらの動物を常に飼育しています。
特に魚は飼わない期間がなかったくらい僕の中では水槽があるのが当たり前になっています。




はい、まあどうでもいい昔話はこの辺にしておいて(笑)、
何故飼うのか?と聞かれれば「飼いたいから」なんですが、
やっぱり突き詰めれば「その生き物の事が知りたいから」。好奇心です。




ありがたいことにショップに行けば世界中の生き物が流通していて大体の種類は探せば見ることができます。
しかし一目見るだけではわからない、
横からじっくり観察することで気づく習性や性格、より細かなことが知れる世界が飼育にはあり、
本やネットで拾ってきた情報では知りえないリアルな情報を得られます。
これだけネットや書籍の多い時代ですが、
全てを鵜呑みにして終わらせてしまうのはもったいなくて、
やはり実際に自分で体験したこと、試したこと、気づいたこと・・・
それらは他にも応用していくことができますし、
突き詰めていくといろいろなことが繋がっていきます。




例えばカメを見た時に、水の中を泳ぎまわるタイプなのか、陸地を歩き回るタイプなのかは、
水掻きの発達具合をみればその種が泳ぎが上手いのかどうかわかります。

水かきが発達している




水かきが全く発達していない。




水を深くした方がいいのか、浅くした方がいいのか、
または浅くても飼えるけれど、深くして泳がせてあげた方がより魅力的に飼えるのかなどなど
様々な情報を教えてくれます。
そしてこれらはフィールドに出て探すときにも活かされます。




トカゲの尻尾も同じで、尻尾が長ければバランスをとるために樹上で生活しているのかな?ケージは高さがあった方がいいかなとか、
短ければ発達する必要がなかったから地上性なのかな?地表面積の広いケージが必要になりそうだ!などと想像できます。




勿論情報収集するのは大切ですし飼う前に調べるのは当たり前のことですが、
◯◯℃で飼えば大丈夫って言われました!書いてありました!と思考停止するのではなく、
なんでその温度なのだろう?どんな環境だとそういう温度なのだろうか?と考える事が大切で、
より深く知ることができるし他の事にも応用ができるのかなあと思います。




進化していることには必ず理由があるので、それを想像し出すと止まりません。


その種類の好む環境やその種の生態を知ることで現地の様子がなんとなく見えてきます。
生き物を見ることで行った事のないそいつの故郷の事がわかるのってなんだか興奮しませんか?
勿論自分の仮説が間違っている事もあるだろうし、
日頃メンテをしながら見極めていく事が大切なのですが、
想像とマッチして調子良さそうな生体を見ると僕はたまらなく嬉しいです。
生き物が生息している環境を知るための窓になる訳です。




上にも書いた通り、この観察をするスキルはフィールドに出た時にも非常に役に立つようで、
釣り界隈で言うところの「日本三大怪魚」と呼ばれ、
幻の魚と称される「イトウ、アカメ、ビワコオオナマズ」の3種類を、
前情報はほぼなし、釣り歴数年の初心者でしたが、そんなに苦戦する事なく釣ることができました。


四万十川のアカメ
自力で初めて野生で見た姿には震えました。




口のつき方や体つきを見ればどんな所にいて、どんな物を食べているか想像がつきますし、
ルアーの種類には疎いけれど、こんな動きをするやつを投げればきっと食ってくるんだろうな、というのが想像できてしまうのです。
そして、それを模索していくのが僕はたまらなく楽しいなと感じます。




以降、当時周りで釣った話をほぼ聞かなかったカスザメや、
クリオネ、一部の地域にしかいないタイプのカブトエビ、
サンショウウオ各種、離島の固有種などなど、
日本中のあちこちで様々なジャンルの生き物に会うことができています。


実は狙って釣れるカスザメ。
周りでも狙っている話をチラホラ。




オーストラリアカブトエビ
見比べてみると確かに
他のカブトエビとは違う




真冬の北海道にクリオネを探しに
イメージと一致した時の感動たるや




なので、僕はフィールドに出るときに敢えて最低限の事しか調べていかないというのをやるのですが、
(釣りブログや採集記みたいなものは基本的に読まない)
ドンピシャで見つけた時や釣り上げた時の感動は一生モノだと思っています。




ただコレクション的に写真が撮りたいならポケモンG〇でもやってればいい、
完全な自己満足、どうしたら自分が一番興奮するかやっていくとこんなスタイルになりました。
案内してもらって見つけるのもいいですが、
自分で探してやりきった時の達成感は説明できない感動があります。


トミヨ
大きい小さいに関わらず見た生き物を探していくスタイル






更に飼育の先には繁殖があります。
これは本当に難しくて、一時的に調子が良いだけでは上手くいかないことがほとんど。
長く調子を保ち成熟したペアがいればある日子供(卵)がとれたりします。


昔飼っていたフロリダドロガメの交尾




グッピーのように環境適用度が高く比較的繁殖までが簡単な種類から、
よりニッチな環境に特化し特殊な生態をもつ種類まで様々。
後者は非常に難しいと言えます。


難しいと言われるワイルドベタ
何度殖えても稚魚が見れた時の嬉しさはひとしお




その種類の生息する所が雨季や乾季のある場所なのか、
昼夜で温度差がありそれを再現してやらないとだめなのかとか、
冬眠(あるいはクーリング)させてやらないと上手くいかないのかとか、
発情するスイッチを探すのも非常に面白いです。時には冷や汗ダラダラの時もありますが。


お気に入りのエキノドルスに卵を産んでくれたドゥメリリィエンゼル




種類によっては情報が全く出てこないような生き物もいるので、
それこそ想像力とセンスをもって生き物と勝負、みたいなものだと思っています。
そして何より、大事に飼っていた個体が卵を産んでいる姿はこれ以上ない幸せです。
生まれたての個体は弱い面もありますが、すくすくと育ってくれるとやりきった感があったりもします。



長々書きましたがこういうの全部ひっくるめて癒されるし楽しいからやっているし続けられるんですけどね(笑)。
それぞれのスタイルがあると思いますが、
僕は飼育から学んだ観察するスキルをここ数年間フィールドに出ることに繋げることができました。
常に出歩いているイメージが強いかと思われますが、
もともとは飼育好きの引きこもりです。妄想族。
釣りを始めてからこんなにも活かされるとは思ってもいなかったのですが、
常々、どんな生き物なのかなあと考えるクセがついてしまっています。
そしてそれが非常に楽しいです。


釣り具のことは全く分からないけれど、
生き物がどんな生活をしていて、どんな環境にいて、その環境にどのように関わっているのかというのは非常に興味深く、想像と一致した時の感動は達成感はたまりません。


相変わらずの広く浅くですが、生き物や環境をいろいろな方向から見るのは本当に楽しいです。
今後も様々な生き物と接していけたらなと思っています。
とにかく僕は、感動したい。
おわり

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