人間失格する魚を釣りたい / 静岡県 アブラソコムツ

人間を失格させる魚がいます。
その名もバラムツとアブラソコムツ(サットウ)。
この魚の特徴として面白いのが、浮き袋ではなくワックス成分(脂油)で浮力調整をしているということ。
深海魚では水圧の関係で浮き袋よりも効率的に浮力調整ができるのか、一部でこういった進化がされてきたようです。


しかしこのワックス成分が厄介で、人間が消化分解ができない油の為、食べると漏らす・油分が垂れてくるんだとか。
人間失格になるというのはそういう事で、うっかり会社や移動中なんかに漏らした日には社会的に死にます。


そんな人間が消化吸収できないワックス危険!てな訳で1970年(!!)から食品衛生法で流通が禁止になったんだとか。
随分と前から規制されていた事に少し驚きでした。


つまりこの魚、流通する事がないので買って食べる事ができません。食べるためには自分で釣らなければいけない!
と、そんな訳で(?)僕たちは船に乗り込むことにしました。

静岡県の船に乗る

声をかけるとあっという間にメンバーが集まったので、
静岡県の清水に集まりました。
今回のメンバーは岐阜x2、埼玉x2、兵庫、東京各1人の全員で6人。
本当あちこちから集まりました…本当に皆さん僕なんかのお声かけて集まっていただきありがとうございます。


乗ろうと思えばもっと人数も行けたと思いますが、
対釣果でいうとこのくらいの人数がちょうどいいかなーという予測で今回は6人で様子見。
というのも、前にも一度乗った事があったのですが、その時は船中ゼロ!タイミングはわかりませんが、どうやら群れが入ってくるかどうかで決まるみたいです。群れてるというのも驚きですね(笑)。


そして夏だと数がでるらしく、冬は渋いけどでると大きいんだとか。なら冬のがいいよね!ってスタイルなので今回は冬をチョイス!
そんななのであんまり大人数でやってほぼ釣れないなんて状況はさすがにどうかな?とも思ったので、冬はこんな人数かなと。夏ならもう少し大人数でもやってもいいかもしれませんね。



仕掛けを準備する

船長から教えてもらった仕掛けはこんな感じ、
ライン:PE3号300m〜
リーダー:100lb前後
ジグ:300g〜
天秤:150号〜
との事。この辺は船宿や状況によっても変わると思うので、予約をする際に確認する方がいいと思いますが参考までに。


ジグを使うか天秤を使うかはそれぞれですが、
今回は300gのジグに餌をつけて使用しました。
天秤仕掛けでもいいのですが、回収の際の水の抵抗を考えるとジグの方が楽とのこと。
確かに前回の天秤を使った時に比べてみると明らかに水の抵抗が全然違い、圧倒的にジグの方が楽でした。
200mを手巻きで回収する事を考えると少しでも負担が無い方がモチベーションを保てるのではないかなと思います。ジグの鈎にイカや魚をつけて沈めます。





これを水深80〜220mくらい、
その日やシーズンによって変えるそう。
220mで魚をかけた日には地獄だなーなんて仕掛けを回収する時に思いましたね(笑)。







正直誰に魚がかかるのかは運要素が高く、そんなに技術がいる釣りではありません。
離島のブッコミ釣りがガチャポンなら
この釣りはあみだくじと言ったところでしょうか。
仲間内で探る水深を少しずつ変えて、シェアしていった方が効率がいいかもしれませんね。


今回は6人だったので乗り込んだ時の船長の指示で3人3人で散らばり、糸が太い人、天秤仕掛けでより流される人は奥で、糸が細い人が前でやるような感じ。この辺はどの釣りでも同じですね。




しばらくやっていましたが、何を思ったかこの日は小潮。全くアタリもないまま時間がすぎてゆく……
今回もボウズで終わるのかな〜なんて思っていたらなんと先頭でヒット!!!


すぐさま船長のアワセロ!アワセロ!!もっとアワセロー!!!!という叫び声が飛びます(笑)。
突然スイッチが入る船長うるさい!!笑




口元が硬い為フッキングが甘いと寄ってきたところでバレてしまう事がすごく多いとの事で、船長が熱くなるのも納得。きっと水深も深いし力が伝わりきってないのもあるんでしょうね。
とにかく合わせろ、しっかりフッキングを決めるんだあ!と伝えていました。


それと同時に周りはすぐに仕掛けを回収します。
水深100m以上でメーターオーバーが走り回れば大惨事!
貴重な1匹を逃さない為にも、釣り糸が絡む前に回収するのが鉄則です。







仕掛けの回収が終わり、魚をかけている友人の元に駆けつけるとめっちゃ引いてる!!!
デカそうだな〜と思っていると姿が見え…
バラムツだあ!!!!とテンションが上がりました!
ほどなくして やまちゃんさんの必殺!ギャフうちが見事に炸裂し、見事な魚体が船に上がりました。



見事な130cmオーバーのバラムツ!!
カッコいいーーーー!!!!!


ゆっくり観察や写真撮影したいところですが、群れで入ってきているという話を聞いていたのですぐさま仕掛けを入れ直します。
この時は130mから回収中に突然かかりました!との事で120m前後に仕掛けを落とす我々。


するとすぐ後ろでヒット!
本当に群れでいるんだ!なんて興奮しつつ、お祭りしてしまうので再び仕掛けを回収します(笑)。
これがなかなかしんどーい!!




すると竿先に違和感が。


え!?なんかかかってる!?と思ったら反対側とまつってました、、。




すぐ後ろで魚かかってるけど大丈夫か!?なんてドキドキしながら外してもらうのを待ってましたが、すぐにとれたとの事で回収。
途中ペラに擦れてる感じがあったので焦りましたが、船長の助けもありなんとかなりました、危なかった〜汗。
良い船長で助かりました。


そんなこんなバタバタしていたので姿は見れませんでしたが、小型のアブラソコムツだったそうです。
この個体は小さかったので即リリースしたそう。
ちょっと姿は見たかった!




そして再び仕掛けを投入。
10m…20m……30m……………120m……!
と仕掛けを止めるとほぼ同時にスーーっと穂先が入り、
クンッククンッと引ったくられました。


マジ!?自分にもきちゃった!?と半分信じられなかったですけど、しっかり食い込んだのを感じてからフルフッキングを10回くらいかましました!これでもかって言うくらいフッキングしろ!と船長に言われていたので、遠慮なく。
それと早合せは厳禁のようで、しっかり持ってかれてから合わせるのがいいそうです。
仕掛けの持って行き方はタルイカのようでした。


バラムツのやりとりを見ていて、まあこのくらいの引きだろうな〜とイメージしていたんですが、それよりも明らかに強い引き…あれ?これ結構大きいんじゃない?
なんて思いながら巻きつつドラグだされつつ…途中全く負けなかったりして(リールが古いのもあるのか?笑)やっとの事で上がってきたのはアブラソコムツでした。





アブラソコムツって顔が小さくてヒョロッこいあんまりかっこよくない魚のイメージだったんですけど、130cmオーバーの魚体を見たらめっちゃくちゃカッコいいジャン!!!となりました。
多分自分が釣った補正も入っていると思いますが、ちょっと顔は小さめですがバランスは悪くないし、体型もマッチョ!アブラソコムツはかっこいい魚!
もう一度言います、アブラソコムツはかっこいい魚!!!!




そして再びみんなが仕掛けを投入する中、やりとりで疲れたのもあり、僕は休憩も含めじっくり観察タイム。
先ほどのバラムツもいたので横に並べて見てみると、すごく引いたのも納得、全然体型が違う!
なかなか比べる機会ないので贅沢な時間でした(笑)。






上バラムツ
下アブラソコムツ


大きさこそバラムツの方が大きいのですが、
アブラソコムツの方が太い!!
明らかに泳ぐのが上手そうな体型。



アブラソコムツ。カツオとかマグロみたい。
ゾンビマグロなんて呼ぶ人も…(笑)。





尾鰭の形状なそんなに変わらないので、
やはり遊泳力は太さというか筋肉で決まるのだなーなんて改めて思いました。



当初のイメージ通り、アブラソコムツの方が小顔で口も小さいですね。
釣った補正が入ってもバラムツの方が顔つきはカッコいいなーと思いました(笑)。





バラムツは面白い事にトゲ状の突起のある鱗をしていて、
アブラソコムツは突起のない細かい鱗をしています。
調子に乗って持ちまくっていたら大変な事になったので注意が必要かもしれません。



気づけば鱗塗れ……(笑)。


結局この日はこの3本で終了、
このあとアタリがなくなりました。
6人中3人。良いのか悪いのか…
そして誰が釣れるのかは本当運ですね、、





いい思い出になりました!


船から降りたあとは捌いて食おう!という事になり、やまちゃんさんに捌いてもらって実食!その辺はまた後で…。


驚きだったのはコチラ、



左バラムツ
右アブラソコムツ
尾鰭を切り落としたところですが、こんなに太さが違うんですね。そりゃあアブラソコムツの方が引くわけだ…!


なかなか同サイズのバラムツとアブラソコムツが揃っている写真も少ないような?気がしたので良いものが見れました。
比較すると色々わかって非常に楽しく、勉強になりました。
今回お世話になった船はコチラ→大黒丸さん
色々融通が効きそうだったので、面白いチャレンジをしてみてもいいかもしれませんね〜。







参考までにタックルデータ
ロッド:ディアモンスターMX-8(廃盤)/モンスターキス
リール:オシアジガー2000(年式不明)/シマノ
ライン:どっかのPE5号300m
リーダー:バリバス95lb 2mくらい
ジグ:中古の350gにイカ
でした。

MX-8で釣れたのも嬉しい

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